キャンプとは
キャンプと聞いて皆さんはどのようなことをイメージされるでしょうか。
家族や仲間で楽しむオートキャンプやバーベキュー、山岳部が行う登山キャンプ、学校主催の林間学校、子ども会のキャンプ、ボーイスカウトやガールスカウトのキャンプなど、自然環境の中で家族や仲間と一緒に生活したり、活動する様子を思い描く人が多いのではないでしょうか。
一方、プロ野球のキャンプ、軍隊のキャンプ(駐屯地)などのスポーツや軍隊の宿泊合宿を、また難民キャンプなどをイメージする人もいるのではないでしょうか?
キャンプ(Camp)という言葉※には、本来、「兵士が天幕に泊まって宿営している場所、あるいはその訓練を受けている場所」「人が集まる場所」という意味が含まれています。
日本キャンプ協会のキャンプインストラクター用テキストでは、自然環境のもとで、必要最小限の装備で生活したり宿泊したり活動したりすることをキャンプと呼びます。
さまざまなキャンプ
キャンプの種類や形態にはさまざまなものがあります。青少年を対象にしたキャンプはもとより、幼児を対象にした幼児キャンプや高齢者や認知症のお年寄りを対象にしたキャンプ等、対象の違いもさることながら、冒険・チャレンジキャンプとか、環境や里山について考えるキャンプなどキャンプの内容も千差万別です。
このような自然の中での簡易な宿泊方法や手段としてのキャンプは、その目的や形態から、大まかに2つに分けることが可能です。1つ目はバーベキューやオートキャンプなど仲間や家族のレジャーやレクリエーションとしてキャンプという行為自体を楽しむために行うキャンプです。あるいは、一般の人たちが登山や旅行時、あるいはイベントが行われるときに簡便な宿泊手段として行うキャンプです。2つ目はある明確な目的や教育的な狙いを達成するための手段として行われ、指導者によって運営、展開される「組織キャンプ」です。
組織キャンプとは
Organized Camp(ing)は1861年にアメリカ・コネチカット州のガナリースクールの校長によってはじめられたものが最初であるとされています。日本ではこのOrganized Camp(ing)を「組織キャンプ」と訳し呼称してきました。
組織キャンプと呼ばれるキャンプでは、キャンプのねらいや目標を達成するために、キャンプの責任者や指導スタッフの役割分担と機能を明確にしてキャンプを運営、展開していくのが特徴です。
また、参加者も一般には小集団のグループに編成されることが多く、キャンプの期間も数日から1週間、あるいは2週間から1ヶ月の長期に及ぶものもあります。固定したキャンプ場で一定期間を過ごすことが多いですが、グループでの縦走登山や、マウンテンバイクやカヌーを使った移動型の組織キャンプもあります。また回数も単発で一過性のものから、年間を通し継続して行うものまでさまざまです。なおキャンプは基本的に宿泊を伴う活動ですが、宿泊を伴わずに日帰りで行う自然体験活動全般をデイキャンプと呼ぶこともあります。
このように、ある目的を達成するために十分に準備され計画された(Organized)プログラムを持つキャンプをわが国では組織キャンプと呼んでいます。
組織キャンプの定義
組織キャンプ(Organized Camp(ing))の定義については、アメリカキャンプ協会(ACA:American Camp Association)の英文定義など、いくつかの定義がありますが、日本キャンプ協会では、ACAの定義も参考に、組織キャンプを以下のように定義しています。
この定義をみると、組織キャンプとしてキャンプが機能していくための要件として、以下の6つが挙げられます。
①意図、目的を持って行われること
何らかの意図や目的、ねらいを持ってキャンプが行われます。
②組織的に行われることキャンプの目的を達成するためにキャンプを運営する人たちの役割分担を決め、運営するための組織が作られます。
参加者もグループに分けられ、役割が与えられます。
それぞれの立場と役割を持った人たちが始めから終わりまでキャンプにかかわっていきます。
④指導者が存在すること参加者全員が楽しく事故なく安全にキャンプが行われるように、必ずキャンプの指導者が指導にたずさわります。
⑤キャンパーを理解していること指導者は、キャンプに参加する人たち(キャンパー)に応じた発育発達の特性を理解しています。
⑥自然環境と野外での生活や活動があること自然環境の中で様々な自然体験活動が行われます。
より安全、安心で、質の高いキャンプのために
さらに組織キャンプを安全で安心な、そしてより質の高いものにしていくために以下のような諸条件を満たす必要があります。
(1)個人の成長の場であること
(2)一人ひとりが尊重され、受け入れられる場であること
(3)自然と人とのかかわりあいを知る場であること
(4)人とのかかわりを通して社会を学ぶ場であること
(5)こころもからだも安全・安心が守られる場であること
(6)すべての人々に開かれた場であること
(7)楽しい場であること
これらの諸条件を含んでいるキャンプを日本キャンプ協会では、より質の高いキャンプと捉え、安全・安心で質の高いキャンプを提供する指導者を養成しています。
※最近では、「キャンプのチカラ」を活用し他分野との共同による「キャンプ×○○」とコラボレートした「防災キャンプ」「婚活キャンプ」「多文化共生キャンプ」などが全国各地で続々と誕生しています。